またしても読者を2か月以上も、お待たせしてしまった。前回の第16綴では「毎月2回UPの目標を実現できる」などと書いておきながら、完全に読者を裏切る事態になってしまい私としても非常に気が咎めているのだが、恐縮ながら、今ここでは謝罪の言葉を書きたくない。今後‘彼女’が私のブログにまた目を向けてくれるようになった時、‘彼女’に負い目を感じてほしくないからだ。
‘彼女’が急に私のブログを避けるようになってしまったのは、本人なりの価値観・考え方があっての事だろうし、精神疾患から来る“気にしすぎ”の部分もあるとは思う。私にもそういう経験があるし感覚としてもかなり共感できる。そしてなにより病気持ちでも健康な人間でも同様に、常日頃から起こり得る問題に「人と人との関わり方の難しさ」がある。
30代半ばで‘うつ’を得て数年経った辺りから「人を見たら泥棒と思え」という格言の意味をしみじみ納得させられて来た。と言っても本気で周囲に泥棒しかいないと思っている訳ではない、というか私の中での泥棒という言葉に対する定義が少しづつ変わってきたようだ。
例えば、ベンチに置き忘れられたバッグを見つけた時、バッグごと持ち去るのか、中の財布だけ抜き取るのか、気付かないふりをして放っておくのか、交番に届けるのか、の判断は人それぞれ全く違う。ただ確率的には盗られる場合が多いから自分の持ち物には注意しましょう、という意味に考える人が大半だと思う。外国に比べ日本国内では落し物が持ち主本人に戻ってくる確率は比較的高いようだし、今このブログを読んでいる読者のほとんどは「交番に届けるかどうかはその時の状況によるけど、なんであれ盗ったりはしない」と考えるに違いない。それは当然、置き引き程度の犯罪行為で警察沙汰になるなんてアホらしいからだ。
だが人権侵害(情報の搾取と漏洩・平穏に暮らす時間の搾取)という、ある意味、窃盗・傷害に等しい行為は日常的に無意識に誰もがやっている。私も含めて、だ。日常すぎて誰も犯罪とは認識していないし罪悪感も感じていないから、やる方は無意識にやるかシラを切り通すかだろうし、やられた方も自分の損失・被害を認めない方が楽だから、結局は何事もないかのように素通りし日常に紛れていく。そうして「自分を知らない」まま、何か良くない物が少しづつ澱のように溜まってゆく。世の中全体にそんな空気がある。
自分がやってしまった点については反省し改める必要もあるが、私は、そういう不愉快な目に遭う事が人より少し多いと思ってきたし、その分どう対処するかも人より多めに考えてきたつもりだった。だが‘彼女’のブログを読んで、私の認識は全く甘すぎる・浅すぎる事に気付いた。支援したいという「私の気持ち」も、私の欲望であり自己満足である以上、これまで‘彼女’の平穏を乱し奪い取って来た何十人何百人と大して差はない。私を胡散臭く思って、このブログを読む気にならないのも当然といえば当然なのだ。しかし、それでも‘彼女’の数十年に渡る過酷な生活環境を知っていく内に「何としてでも私の知識と経験をこの一人の女性の為にこそ活用したい」という考えが頭から離れなくなってしまった。
この考えは‘うつ症状’から来る「拘り」の一つであるかもしれないし、私の支援など‘彼女’には余計なお節介かもしれない。実際いまは良い薬もあるようだし、優秀な精神科医もついている。そう思う一方で、やはり良医や服薬だけでは本格的な回復には向かわない、という私自身の経験から来る確信もある。そして「バレなきゃ何をやってもいい」「善意だから受け入れるべき」という周囲の「独善的または無意識の精神的暴力」に晒されてきたという意味では、‘彼女’も私も非常に似通った環境下で暮らしてきたという感触もある(‘彼女’の気持ちを未確認の現時点では、この感触も独善的ではあるが)。つまり病中で力不足ではあっても‘彼女’を支援するなら私こそ適任だという自負がある。そして「自制と沈黙を以って私の病気回復とブログの定期的UPを待ってくれている読者」を見習い、‘彼女’が自発的に私のブログに目を向けられる日を、私も静かに待とうと思う。
……正直なところ‘彼女’のブログばかり気になってしまって、次に何を書くか、全く手を付けていない状態である。しかし全く案がない訳でもなく、これ以上ブログを放っておくのも忸怩たるモノがあるので、早ければ今月6月中、遅くとも7月6日頃までには、通常通りの形で〚第18綴〛をUPする予定という事で、ご理解頂きたい。もちろん、その間に‘彼女’が〚第16綴〛を読んで何らかの反応を見せてくれた場合は‘彼女’に対する返答文を優先して即日(遅くとも24時間以内)のUPを約束する。
通常通りの「ぬえのなくよ個人」としての文章は返答文にかかった時間だけ遅れる可能性が高いが、当然できあがり次第UPしていくので、これまで以上に不規則になったとしても、読者に提供できる文章の総量としては少しずつでも増やしていけるのでは…と考えている。
一面識もない赤の他人に、なぜここまで拘るのか不思議に思う人もいるかもしれない。女同志で年齢も大きくは離れていない、同病相憐れむ部分もあるだろうが、なにより「私より頑固な奴いた~~~っ」というのが一番大きい(笑)。そして‘彼女’が気付いてくれるのを願いながら待つ時間は、これまで誰一人として与えてはくれなかった、私に生きるチカラを与えてくれる唯一無二の時間だからだ。
唯一無二 〚第16綴〛

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